インタビューはくちづけの後で
笑顔になったせいたろう君を見送って、

「どうしてここにいるんですか?」と見上げると、

「芽衣の働いてるところを見に来た。けど、面倒な奴らに掴まってたところ。
ちょうど良かった。探す手間が省けたな。」

「『ペロリ』はぬいぐるみのブースから借りて来ただけだったのに…怒られちゃうなあ…
副社長がちゃんと説明してくださいね。」と言うと、

「俺ってまだここに社員じゃないかも…」

「…」

「しょうがない…一緒に怒られてやるよ。」と言ってから、頭をかき、

「部外者が新商品をタダで子どもに渡すってやっぱりまずいかなあ…圭介に助けてもらうか…」

と言ったので、周りを見回すと、クスクス笑う斎藤課長の顔が見えた。

「こら、瑞希、コソコソこんなとこで何やってんだ。」

「いや、芽衣を見に来ただけだ。ついでに迷子も付いて来たが…」

「広報部の部長が呆れてたよ。
挨拶の途中で、許婚に吸い寄せられて、いなくなったって…」

「いや、芽衣が人混みで子どもを抱っこしてウロウロしてたから…」

「あいかわらず、おまえは芽衣ちゃんにぞっこんだな。
帰国するたび、芽衣ちゃんを見に行ってただろ。」

「うるせーよ。芽衣にストーカーって思われるだろう。」

「ストーカーだろ。」

「やめろって!」

…本当にストーカー?
と私が呆れて上目使いで見上げると、

「あっ、本当にちがうって!」と副社長は顔を赤らめる。

え?照れてる?
そこって照れるところ?
そんな顔されると、こっちまで、恥ずかしいじゃないの…


「質の良いストーカーだな。特に危害を加えるつもりはないんだろうから。
遠くからでも、芽衣ちゃんの笑顔が見られれば満足らしいし…」と斎藤課長が笑うと

「いや、もう、見てるだけじゃないけどな。」
と呟くように言って私を見つめるので、
かなり、心臓がバクバクと音を立てる。

確かに、もう、キスされているけど…。
…されているだけだ。
私からは求めていないし、付き合っているわけではない。と自分に確認しておく。
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