不埒な専務はおねだーりん
「絶対やりませんからね!!」
「怒らないでよ、かずさ……。冗談だからね?ね?」
あとからご機嫌をうかがうくらいなら、最初からめちゃくちゃなことを言わなければいいのに。
ため息をつきながら、ケーキののった紙皿とフォークを手にとる。
ケーキを一口サイズに切り分けている途中で、篤典さんはポンポンと己の膝の上を叩いた。
「ほら、かずさ。ここ、ここ」
つまりは、この上に乗れということだ。
「なんで膝の上なんですか!?」
「昔はよくこうして食べさせあいっこしただろう?」
「もう立派な大人ですよ!!」
一生懸命抗議しても効果はゼロだ。
「まあまあ、細かいことは気にせずに。食べさせてくれたらさっき持ってきた追加の書類も全部片づけるからさ」
仕事を盾にされたら、私だってもう反論できない。
失礼しますと一声かけて、おずおずと膝の上に横向きで乗っかる。
……一体何が楽しいというのか。
不可解な行動に首を傾げながら、篤典さんの口元にフォークを持っていく。
ところが、篤典さんの口元に到達する前にケーキがフォークからこぼれ落ちた。
「あんっ!!」
悪戯心をくすぐられたのか、篤典さんがツツーと私の背中に指を滑らせたからである。