不埒な専務はおねだーりん
「あーもう。かずさが暴れるからこぼしちゃったよ」
だって!!篤典さんが変なところを触るから!!
ジト目で睨んでも、ケーキは元には戻らない。
「ううっ……もったいない……」
折角、パティシエさんが丹精込めて作ったのに……。
タイトスカートの上に落下したスポンジのかけらを涙ながらに見つめていると、篤典さんがひょいと指でそれをつまんだ。
「はい、あーん」
あーんって……。篤典さんじゃなくて私が食べるの!?
「あーんは?」
再度、口を開けるように催促される。
……あ、これ。食べるまで終わらないやつだ。
篤典さんに手ずから食べさせてもらう背徳感で、口を開けている間、ドキドキしっぱなしだった。
フォークを滑らせ口の中にケーキが入ると、満足そうに笑いながら尋ねた。
「おいしい?」
「おいしいです……」
そう言って口元を押さえながら、こくこくと頷く。