不埒な専務はおねだーりん

(だって!!)

いつもと変わらぬ口調で“大好きだ”って言われても伝わるものも伝わらない。

「私は……ずっとからかわれているのだとばかり……」

好意を簡単に口に出せるのは、誰からも拒絶されたことがない証だ。

宇田川家のひとり息子として何不自由なく育った篤典さんにとって、他人は常に自分を愛してくれる良き隣人であり、仇をなす悪人はひとりとしていない。

篤典さんの“大好き”は、挨拶代わりみたいなものなのだ。

「僕のことが眼中にないのは……かずさの方じゃないか」

はっと口を押さえても、一度発した言葉は取り消すことが出来なかった。

「今のはさすがに傷ついた」

篤典さんの顔から色が失くなっていくのを見て、私は初めて取り返しのつかないことをしてしまったと後悔したのだった。

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