不埒な専務はおねだーりん
「元はと言えば専務がいけないんですよ。ちっとも仕事はしないわ、隙あればサボろうとするし……。仕事の対価に無茶苦茶なおねだりを迫ってくるし……」
てんで始末に負えません!!と訴えると浜井さんはしきりに首を傾げた。
「無茶苦茶なおねだりを迫ってくるって……どういうこと?」
どういうことかと聞き返されて、こちらも困ってしまう。
私は恥を忍んで篤典さんのこれまでのおねだりの数々を浜井さんに耳打ちして正直に暴露した。
コソコソ、ゴニョゴニョっと内緒話をしていると、途中から浜井さんが眉をひそめていった。
「専務にそんなこと言われてたの!?」
「声が大きいですよ!!」
だから内緒にしてたのに!!
浜井さんははあっとため息をつくと、疲れ切った表情になって頭を抱え出した。
「そりゃあ。小さいのはちょこちょこあるわよ?お菓子食べたーいとか、今日は疲れたから早く帰りたーいとか、こっちが困らない程度の軽めのやつね?そんな恋人にベッタベタに甘えるクラスのおねだりなんてされたことないわ」
「えええええーーーー!?」
私へのおねだりと中身がまるで違うじゃない!!
「冗談ですよね!?」
私はデスクから身を乗り出し、どういうことかと逆に浜井さんに詰め寄った。
「嘘なんてついてないわよ?専務はすぐ怠けて遊ぼうとするけど、仕事をダシにして何かを要求なんて卑怯なことはしないわ」
衝撃の事実に愕然としてしまう。
「じゃあ……今までの私の努力って一体……」
全部無駄?意味がないことだったの?
「どうして専務は私にばかりそんな意地悪を……?」
「それは本人に聞いてみたらどうかしら?」