わたし、結婚するんですか?
 ……なんて素敵な提案を、と思いながら、

「私は、ハンモックがいいです」
と言うと、遥久は顔をしかめ、

「じゃあ、木が二本いるじゃないか。
 家を大きく取ったから、庭は狭いぞ」
と言ってくる。

 いや、いちいち私の意見を取り入れてくださらなくてもいいんですが。

 ちょっと言ってみただけですから。

 そもそもこれが自分の家だという実感もないですし、と思ったのだが、盛田は笑い、
「まあ、お二人で意見をすり合わせて、ゆっくり考えてみてください。
 もうちょっと形になってきたら、模型作りますから」
と言ってくる。

「あ、おうちの模型ですね。
 可愛いですよね。

 私、あれ、作ってみたいんですよー」

「……何処に向かってってるんだ、お前は」
と言う遥久に盛田は、ははは、と笑ったあとで、

「ご主人、ちょっと」
と手招きしていた。

 なんだろうな。

 奥さん、ちょっとおかしいですが、大丈夫ですか? みたいな? と思い、隅の方に行った二人を窺っていると、いきなり、遥久が、
「そうか。
 お前か」
と言って、ぷくぷくの設計士の頬を指先でつまんだ。
< 130 / 368 >

この作品をシェア

pagetop