わたし、結婚するんですか?
 





「へー、大学のサークルの後輩なんですかー」

 ……先輩に見えるんですが、と思いながら、盛田と遥久の意外な関係について聞きながら、珈琲を呼ばれたりしつつ。

 ちょっと疑問に思っていた。

 出世頭で素敵な彼氏と、夢のような結婚式場。

 そして、自分の理想通りのマイホームまで建築中。

 なんの不満もなさそうだな、記憶をなくす前の私。

 幸福の絶頂ではないか。

 打ち所の問題なのかもしれないが、何故、遥久のことだけ忘れてしまったのか。

 まあ、その幸せな恋人同士、という失われた記憶が本物なら、の話だが。

「では、次回の打ち合わせは、来週の土曜で。
 忙しくなりますよ」
と洸に笑いかけ、盛田は言う。

「いろいろ決めてもらうこと、たくさんありますからね。
 浴室とか洗面台とか、電気とか」

 ……なんか楽しくなってきたな。

 本当に自分の家かどうかわからない家だけど、と思いながら、メモしようとして、気づく。
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