わたし、結婚するんですか?
 慌てて、洸はそこに入る。

 押し入れの戸を閉めると、カラカラと音がするので、遥久がドアを開けるタイミングで、その音に被せて、戸を閉められるところまで閉める。

 当たり前だが、内側には、指を引っかけるところがないので、戸をつかんで閉めていた。

 洸の指の幅程は開いているのだが、たいした幅ではないから、大丈夫だろう、と思う。

 だが、その隙間が恐怖でもあった。

 気づかれるかもしれないというだけではなく、遥久の声が聞こえ、動きが見えるからだ。

「……洸?」

 遥久はこちらには気づかず、自分の名前を呼んでいる。

 押し入れに隠れるのなんて、子どものとき以来だ、と思いながら、なんとなく正座してしまっていた洸の鼓動が速くなる。

 まあ、子どもと言えども、裸で隠れたことなどなかったが……。

「何故、下着が……?」
と遥久が呟くのが聞こえた。

 ひーっ。

 見ないでっ。
 触らないでくださいーっ。
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