わたし、結婚するんですか?
 それ、そんなに新しくもないしっ。

 普段使いなんで、可愛くもないしっ。

 だって、普段は、綿でお腹まであるのが身体にいいんですっ、とお前は何処かの下着会社の回し者かっ、と言われそうな言い訳を心の中で考える。

 可愛い下着も持ってるけど、着ても誰かにお見せするわけでもない、ただの自己満足のためのものだから、普段は着ないんですよっ。

 ああっ。
 見ないでっ。

 触らないでーっ、と手に汗握る洸は、ようやく気づいた。

 最初の段階で、
「今、お風呂上がりで着替えているので、ドア、開けないでください」
と言えば、それで済んだ話だったのではないかと。

 遥久はそこでドアを開けてくるような無粋な男ではない。

 しまったーっ、と思ったが、ともかく、服を着ていない状態で、遥久が起きてきてしまったことに動転していたのだ。

 遥久は、手も触れずにベッドの上の下着を見下ろしたまま、

「洸は裸で何処に行ったんだ……」
と呟いている。
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