わたし、結婚するんですか?
 





「お前、明日、近所に謝っておけ」

 リビングのローテーブルで疲れたように頬杖をつき、遥久が言ってくる。

 もうかなりのいい時間だ。

 あの悲鳴はない。

 かなりのご近所迷惑だったろう。

 よく通報されなかったものだ、と思いながら洸は言う。

「……そうですね。
 朝、エレベーターとかで出会ったときとかに」

 洸は服を着て、ラグの上に正座していた。

 遥久には、押し入れの戸が少し開いているのが最初から見えていたようだった。

 押し入れを開ける直前にクローゼットを開けてみせたのも、こちらを油断させるためのフェイクだったらしい。

 困った人だ、本当に……。

「だが、びっくりしたぞ。
 まさか、ひとりで、半裸のまま、押し入れの隅に正座しているとは……」
と遥久は呟いている。

 なんとかギリギリ、タオルで身体を覆えてよかった、と思っていると、遥久は、

「葉山も一緒だったら、二人ともその場で、真っ二つにしていたところだが」
と物騒な言葉を付け加えてきた。
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