わたし、結婚するんですか?
 その少し心配そうな様子に、この人、なんだかんだでやっぱり人はいいな、と思った。

「いえ、すみません。
 もし、私が課長と付き合っていたというのが本当なら……」
と言うと、謝ろうとしているのに、小突かれる。

「この後に及んで、まだ俺と付き合っていなかった想定があるのか」
と言われた。

「だ、だって、なにが本当かわからないし。
 貴方と結婚する予定だったのなら、いっぱい幸せに満ちたスケジュールが書かれているはずのスケジュール帳も何故か見つからないし。

 記憶をなくしたときのことを浜崎に訊こうと思っても、帰ってこないし。

 浜崎、殺されたのかなと思ったり……」
と思わず言うと、

「お前の記憶の秘密を知るかもしれない浜崎を俺が殺すと?
 お前、俺にとって、自分がそれほどの価値のある人間だと――」
と言いかけ、

「……あるな」
と言う。

「今、お前が葉山と一緒に居たら、確実に俺は犯罪者になっていたし」

 遥久は洸の両の指におのれの指を絡めてラグの上に押え込むと、間近に洸を見つめて問うてきた。

「……俺が嫌いか? 洸」
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