わたし、結婚するんですか?
 貴方にそんな風に見つめられて、嫌いとか言える女は居ませんよ、と思ってしまっている間に、遥久はゆっくりと唇を重ねてくる。

 そういえば、こんなことが前にもあったような。

 そして、今と同じことを前にも思ったような――。

 課長、貴方は、記憶は消えても、感情は消えないって言ってましたけど。

 でも、私には、そのときの感情がどうしても思い出せないんです。

 今みたいに、気を失いそうな……

 目眩がしそうな気持ちになっていたかどうか。

「……うん。
 ちょっとお前を脅すだけで、やめてやろうかと思ってたんだが」

 もう無理だ、洸、と言って、遥久はもう一度、唇を重ねてきた。






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