わたし、結婚するんですか?
「まま、待ってくださいっ、課長っ。

 新村さんが私に、なにかしたわけではありませんっ」
と今にも完全犯罪を起こしそうな遥久に向かい、洸は叫ぶ。

 だが、遥久は振り返り、冷静な口調で言ってきた。

「いやいやいや。
 お前を不愉快にさせただけで、新村は殺していいだろう。

 ちょっと待ってろ、今すぐこの世から消し去ってくるから。

 二度とお前の視界に入らぬように」

 そう言うと、腕にぶら下がっている洸など物ともせずに、進んでいこうとする。

 そのとき、廊下の方から呆れたような声がした。

「莫迦か。
 殺人事件はよせ。

 洸と居られなくなるぞ」
と章浩の声がした。

 振り返りそちらを見た遥久に、章浩が言う。

「言ったろう、悠木遥久。
 洸を泣かすなと。

 お前がどのような人間であろうとな……」

 そう言ったあとで、
「入れ。
 そこで揉めると下まで丸聞こえだ」
と章浩は二人に社長室に入るよう、促した。







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