わたし、結婚するんですか?
 



 昨日のことなのになー。

 課長と手をつないで、夜道を歩いて。

 この幸せがずっと続けばいいと思ったのは。

 そんなことを思いながら、洸はその緑に囲まれた事務所を外から覗いていた。

 忙しかったり、お客さんが居たりしたら、帰ろうと思いながら、仕事帰りに寄ったのだが。

 運良くだか悪くだが。

 そのくまのような設計士は呑気にお茶を飲んでいた。

 こちらに気づき、人の良さそうな顔で、にこ、と笑う。

 すぐに出てきて、
「今日は先輩、一緒じゃないんですか?」
と訊いてきた。

「一緒じゃないんです」
と言ったあとで、

「すみません。
 盛田さんにお訊きしたいことがあるんですけど」
と言ったとき、誰かが洸の手をつかんだ。

 振り返ると、すごい形相をした遥久が居た。

 全力疾走してきたらしい。
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