わたし、結婚するんですか?
 だが、盛田は口を開いた。

「洸さん、先輩は――

 とんでもない女たらしなんです」

「盛田」
「はい」

「過去形で語れ」
「はい」

 いや、自分で告白する勇気もない人が何故そんな偉そうに……。

 しかし、自ら憎まれ役を買って出ても、先輩のために、代わりに告白をしようとするくらい、この後輩に愛されているのは感じた。

 本人はなにを聞きたくないのか、他所を向いてしまっている。

「先輩と同じサークルだって言いましたよね?

 先輩は、たまにサークルにくると、酒を呑みに来るか、女の子を二、三人連れて帰るかで」

 一度にか……。

 以前、サークルの話をしたとき、盛田がうっかり言いかけてやめたのは、このことだったのだ、と気がついた。

「そのうち、刺されますよと何度も忠告したんですけどねえ。

 でも、就職してからは、騒動が起きないよう、手近な女性には手を出さないようにしてたみたいですよ。

 しかし、悪いことは出来ないもので、新村先輩が付き合いのあるイベント会社に居たみたいで」
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