わたし、結婚するんですか?
 先輩と呼ぶからには、新村も同じ大学か、同じサークルの人間だったのだろう。

 そして、当時から遥久と付き合いがあったに違いない。

「貴方は穢れて乱れていますっ!」
と叫んで、洸は立ち上がる。

「待てっ。
 あのときのことは、単に、新村が俺に彼女が居るのを知らなかったからだっ」

「じゃあ、着信していた不審な電話も、貴方に彼女が居ると知らなかった新村さんなんですかっ?」

「着信……?

 ああ、あれは、盛田が勝手に――」

「お母さんと食事してたときっ」

 話を途中までしか聞かずに反論しかけた遥久は、は? という顔をしたあとで、
「いや、それは違う」
と言ったが、

 いや、今、新村さんとは別件のなにかを白状しかけましたよね~と洸は遥久を睨む。

 これ以上追求するのも嫌で、出て行こうとすると、立ち上がった遥久が叫んだ。

「落ち着け、洸っ。
 すべては、お前と出会う前のことだ!」

「洸さんっ。
 先輩は確かにやり過ぎですが、この歳で、このルックスで、過去のない男なんて居ませんよっ!」
と盛田が加勢する。
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