わたし、結婚するんですか?
 だが、洸は、
「全然、過去じゃないですっ」
と反論する。

「貴方と付き合いのあった人が、また、新村さんみたいに、いきなりキスとかしてくるかもしれないじゃないですかっ」

「じゃあ、俺に今までの女すべてに結婚するから近寄るなと言って歩けと言うのかっ」

「……すごい長旅になりそうですよね」

 味方のはずの盛田が余計な茶々を入れ、なにっ? と遥久が振り向く。

 洸は、その隙に出て行こうとした。

 戸口で振り向く。

 自分を見つめる遥久の瞳に、あの夜と変わらない愛情を見た気がしたが、なんだか今はなにも信じられなかった。

 そのまま洸は盛田の事務所を後にした。






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