わたし、結婚するんですか?
 洸もだんだんと、今まで大事な想い出だった、その日のことを思い出していた。

「私……私は、そう笑って言ってきた課長が、いつもと違って無邪気な感じで、はーさんみたいで」

「はーさんって誰だ?」

「おにーちゃんとこの長男ですー」

 それでつい、子どもにするようにしてしまったのだ。

「すみませんでした……」
と今更ながらに謝る。

 いや、しろと言ったのはこの人なのだが。

「ともかく俺は、そこからお前にメロメロになったのだ」
と遥久は主張する。

「ずっといまいち使えない奴だと思ってたんだがな」

 うっ。

「仕事は出来るが、いつも、なにかひとつやらかすというか」

 いや、新村さんといい、貴方、実はそういうタイプが好きなんじゃないですか、と洸は、いじけて思った。
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