わたし、結婚するんですか?
 学生時代の女に関しては、いちいち削除するのもめんどくさいので、携帯ごと変えてあるから大丈夫なはずだ。

 この間、道でばったり、誰かに会った気がするが、気のせいだろう。

 昔なら、追いかけて、声くらいかけてみるかと思ったものだが、今はなにも思わない。

 今や自分の中で、女というカテゴリーに入っているのは、洸だけだったからだ。

 昔に比べ、ずいぶん人数も減らしていたので、楽だった。

 すべての電話を終え、満足して、ソファにスマホを置いた。

 少し身綺麗になった気がした。

 盛田が居たら、
「いやいや、なにも綺麗にはなっていませんよ。
 正気に返ってください」
と言うところだったかもしれないが。

 遥久は自分の横に座る洸の姿を思い浮かべ、微笑む。

 自分に笑いかけてくる洸の膝の上に居るのは、あの愛らしい仔猫。

「マンチカン」という種類の猫だと後で知った。






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