臆病者で何が悪い!


その次の一週間も、生田の状況は大して変わらなかった。戦場のような状況の隣の係の人たちは皆、日に日に死んだような目をして行った。

「……それにしても、生田はタフだよなぁ」

生田の係の鶴井さんが、溜息交じりに呟いている。

「いや、俺も結構キてますよ」

「そんな風には見えない。おまえが一番働いてんのになぁ」

今にも机に突っ伏しそうな勢いで、何度も目尻をぐりぐりとしていた。

「まあ、一番下っ端の俺が働くのは当然なので」

「とか言って、俺、あと少しでおまえに抜かれるじゃねーか」

ぼやく鶴井さんに生田は涼しい顔で答える。

「なので、いまのうちに後輩として働きまくっておきますよ。じゃあ、ちょっと総務に行ってきます」

結局机に突っ伏してしまった鶴井さんをそのままに、生田は部屋を出て行った。相変わらず休むことなく動いてる。いくらタフだと言っても、絶対的な疲れは身体に溜まっているはずだ。でも、先輩職員たちを前に若い職員が先に「疲れた」なんて言えない。そういう暗黙のルールみたいなものがある。

何か、差し入れしようかな……。

ずっと間近で生田を見ていたから、ふとそんなことを思いついた。


昼休みに、コンビニで、お昼ごはんと一緒に栄養ドリンクを買った。私も仕事がきつい時によく買う銘柄の物だ。栄養ドリンクとの付き合いは結構長い。いくつも試した中で、一番効くという結論に至ったものだ。なんとなく、職場に戻る足取りが早くなる。

少しは、何かしてあげたい――。そう思って自分の課の前に戻って来たところだった。


< 115 / 412 >

この作品をシェア

pagetop