臆病者で何が悪い!
少ししてから、部屋のローテーブルにカレーを出した。本当なら、栄養のつくものを出した方がよかったのかもしれない。でも、味に間違いないのはカレーしか思いつかなかった。初めて出す料理で失敗は許されない。
「美味そうだな。じゃあ、いただきます」
「どうぞ」
生田らしからぬはしゃいだ声を出して、早速食べ始めていた。それを緊張の眼差しで見守る。
「うん。俺、この味好きだよ。カレーって人によって特徴出るだろ? とろみ加減とか俺の好み」
「そ、そう? なら良かった」
とりあえずホッとする。ホッとして、私もカレーを口にした。
カレー一皿をものの五分くらいで食べ終えた生田は、満面の笑みで「ごちそうさま」と言った。
「美味しかったよ」
もう一度そう言う。こんな風に、これまで知ることのなかった表情が、一つ、また一つと増えて行く。
「うん」
「内野……」
「ん?」
どきりとしながら生田の顔を見上げる。すぐ斜め隣にいる生田の眼差しが、近い。
「今日は、ありがと。この二週間の疲れ、全部吹っ飛んだ」
「うん」
なんだ私は。さっきから「うん」しか言えていない。
「じゃあ、俺、帰るよ」
「えっ」
と思ったら、咄嗟に声を上げていた。今の、『えっ』は何に対する驚きだろう。思わず見つめてしまった生田の目と視線が重なり合う。