臆病者で何が悪い!
明け方の部屋は冷え切っているのに、この毛布の中は別世界のようだ。
「……自分がどんな人間だったか忘れてしまうくらい、好きだよ」
それって、生田の過去の女性たちのことを気にしてしまった私への慰めーー?
そんな生田の気遣いと優しさに、そのまま甘えてしまいたくなる。
「ねえ、どうして生田はーー」
私のことなんて好きになったのーー?
大事にされればされるほど感じて来た疑問を、そのまま投げかけてしまおうとして慌てて口を噤んだ。そんなの、答えがあると分かっていて聞く、可愛いらしい女子のする質問だ。この私が、「私のどこが好き?」的質問、出来るはずもない。だから、質問を変えることにした。
「いつから、その、私のこと、好きだったの……?」
これなら、図々しくないよね?
大丈夫だよ、ね?
「それは……」
生田が、私から目を逸らした。
な、なんで目を逸らすのーー?
やっぱり、自惚れ過ぎたーー?
「…….秘密」
「秘密って、何?」
想定外の答えに思わず聞き返してしまった。
「……そんなこと、言えるかよ」
ボソボソと独り言のようにそう言って、私の肩に顔を埋めてしまった。
この反応は、どう判断すればーー。でも、これ以上追求する勇気もなくて、いつの間にか生田の腕に包まれたまま寝てしまっていた。
結局、生田の家で朝を迎えた。二週連続でお泊りなんて、自分の身に起きていることなのかと、ふと他人事のように思える。それほどまでに、急激に生田との距離が縮まった。
確かに――。以前達也と関係を持っていた時も、一度身体を重ねたら、もうそうすることが当然になった。
達也は私の身体ばかり求めて来たっけ。二人でしたことと言えば……それしか思い出せない。まあ、そりゃそうだ。『身体だけが目的の女』だったんだから。あの時は、そのことに薄々感付きながらも気付かないふりをして達也の傍にいたな……。
ひりひりするーー。忘れたいのに、どうしてこうも何かにつけて思い出しちゃうんだろ。
「私、そろそろ帰らないと……」
朝と言うにはもう遅い、11時近くまでベッドでまどろんでいたけれど、さすがに起きなければと布団から這い出た。