臆病者で何が悪い!


早く田崎さんに会いたいなんて可愛らしいことを思ってみても、やっぱりこうして休暇明けに出勤するのは身体が重い。いつもの睡眠不足のせいもあり、この3日間、かなり不規則な生活を送ってしまった。昼夜逆転してしまっての早起きは身体に来る。
その上、太陽の日差しが痛い。

「おはようございます。休暇中、いろいろとありがとうございました」

そんな挨拶を同じ係の人たち(主に田崎さん)にしていると、課長補佐から声を掛けられた。

「内野さん、出て来たね。生田さんと内野さん、ちょっと」

私と生田、両方に手招きをする。

私と、生田? 

係違うのになんの話だろう。

不思議に思いながら課長補佐の席へと向かう。久しぶりに見る生田は、相変わらず暑さもどこ吹く風の冷めきった表情をしていた。

「これなんだけど」

一枚のチラシを私と生田の前に差し出される。

「……研修会、ですか」

学識者が講演を行うようなものらしい。そこに書かれているテーマは、まさにうちの課が取り扱う業務に深く関わるものだった。

「そう。うちの課から誰かをと思ってね。内野さんの係は特に関係があるし、生田さんは偉くなったらこんなものに出席する機会もなくなるだろうしね。平職員のうちに行っておくのもいいと思って」

確かに。生田はキャリア組だから今年の暮れには係長だ。私のようなノンキャリと違って光の速さで出世していく。

「分かりました」

「じゃあ、よろしく頼むよ」

生田が頭を下げると、補佐が私にそのチラシを手渡して来た。

「はい。じゃあ、参加の申し込みをしておきます」

それにしても、生田と二人か。会話が弾まないから気疲れするけど、仕事だからしょうがない。

「じゃあ、私の方で申し込んでおくよ」

「よろしく」

生田の背中を見送り、こっそりと溜息を吐き席についた。

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