臆病者で何が悪い!



翌日は、昼前までベッドの中で寝てしまった。

それだけ体力を消耗したということだ。

でも、これほどまでに心地いい疲労はないだろう。


幸せだ。


一度は手放した。
でも、ここに確かに沙都はいる。

遠い日本から離れても、こうして傍にいて、息をして、微笑んでくれる。


気持ちよさそうに眠る沙都の瞼に、そっとキスをした。


可愛い。
可愛いだろ。
可愛くないわけがないだろ――!


毛布からはみ出た肩にも唇で触れる。


「……ん」


その鼻から抜けるような吐息に、また俺のスイッチが入ってしまいそうになるけれど、さすがにそこは自重する。

沙都が寝返りをうち、俺に背を向ける。

沙都の背中は綺麗だと思う。

肩甲骨も、腰までのラインも。

背中を見ているだけで、俺は反応してしまうんだから。
もう、ただの変態だ。分かっている。


俺って、変態だったんだ。


28にもなって気付くとか、どうかしていると思うけど、でもそれは仕方がない。

俺が変態になるのは”沙都限定”だから。

太陽の光に照らされた沙都の背中はとんでもなく女性らしくて、誘われるように唇を寄せた。


「……んん」

「沙都。もう、昼だぞ」


背中に唇を当てたまま囁く。


「起きないと、また襲われるぞ……」


襲われたいなら、起きなくていいけど――。


大きな窓の外からは、晴れ渡った空からの光が漏れ出ている。


今日は、晴れみたいだ。


二人で、公園にでも散歩に行こうか。

せめて、太陽が出ているうちは、紳士でいよう。

そう自分を戒めてみる。


なのに、目の前の可愛い人は、俺の苦悶にはお構いなしに可愛い寝顔を晒している。

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