臆病者で何が悪い!


結局、起きた時間が遅かったから、ランチも兼ねて外へと出かけた。


「今日はお天気もいいし、サンドイッチとコーヒーでも買ってセントラルパークに行こうよ」


沙都が俺の前を歩きながらこちらへと振り向いた。


「いいな。公園内の紅葉、見ごろになりだしたからな」


通りを歩きながらそう決める。

俺たちが住むアパートから少し歩いたところに、老舗のスーパーがある。
そこに寄って、”サンドイッチセット”を買い込んだ。

並んで歩き、手を繋ぐ。


公園内に入れば、歩道脇の木々は黄色に色付き始めていた。
天気の良い週末ということで、地元の人たちや観光客で賑わっている。

広大な敷地を持つこの公園の割と近くに住んでいるとはいえ、まだすべてを回り切れていない。


木漏れ日を浴びながら15分ほど歩くとSheep Meadowという芝生の広場に出る。

そこに二人で腰を下ろした。


「こんなに広々とした芝生が広がってるのに、向こうに高層ビルが見えたりして、これこそ本当の都会のオアシスだよね」


買って来たサンドイッチを広げながら、沙都がはしゃいだ。


「本当だよな。世界の先端を行く場所で、こんな公園もあって、こういうところに住む機会をもらえて、かなり貴重かもな」


後ろに手をついて、快晴の空を仰いだ。


「東京にいた頃みたいに毎日午前様なんてこともないし、毎日がメリハリあって。あー、もう帰りたくねーな」


俺がそういうと、沙都がぽつりと呟いた。


「ホント、今、夢の中にいるみたい……」


黄色やオレンジに染められた木々に囲まれ、空は青い。鮮やかな緑の芝生とのコントラストに、沙都が見入っていた。


「――まあ、夢じゃないんだけどね」


そう言って、カップに入ったコーヒーを沙都の頬にそっと当てる。

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