蜜月なカノジョ(番外編追加)

「お願いします」

伝票を出した彼女をまじまじ見そうになったところで我に返ると、ニコッと最上級の笑顔でそれを受け取った。
とにかくここで何としてもきっかけを掴まなければ。

「カプチーノ、お好きなんですか?」
「えっ? …あ、はい。この前偶然こちらに入って飲んだらすごくおいしくて。あの味が忘れられなくてまた来てしまいました」
「ということは2回目ですか?」
「はい。やっぱり今日もすごく美味しかったです」
「ふふ、とっても嬉しい言葉をありがとう。うちに来たお客さんにあなたみたいな笑顔になってもらいたくて開いたお店なの。本当に嬉しいわ」

「えっ…? じゃあもしかして…オーナーさんですか?」
「一応ね」
「そ、それはそれは…! お世話になっておりますっ…!」
「へっ?! …ぷっ、あははははっ!」

オーナーと聞くなり何故かシャキッと背筋を伸ばして頭を下げた彼女に、お客さんであることも忘れて思わず爆笑してしまった。
何て可愛い子なのだろうと。

< 179 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop