蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…さん、ナオさん。起きてください、朝ですよ」
「ん…」
遠くから聞こえていた声が徐々に近づいてくるにつれて、目覚めが近いことを自覚する。
…あぁ、どうやらまたやってしまったらしい。
「ん…杏…おはよう。…悪い、また寝過ごした」
「おはようございます。…大丈夫ですか? このところ毎日起きるのが遅いですけど…どこか具合でも悪いんじゃ…」
「いや、寒くなってくると布団から出るのが億劫でさ。冬になるとだいたいこんなもんなんだ」
「…ならいいんですけど…。ほんとに無理はしないでくださいね? 相変わらずお仕事も大変ですし、体を壊さないように…」
「サンキュ。でもほんとに大丈夫だから。心配しないで、ね?」
むくっと起き上がって額に軽くキスを落として立ち上がる。
杏は尚も心配そうな顔をしているが、俺は元気だと大袈裟なくらいにアピールしながら早々に出勤の準備を始めた。
何か言いたげな表情でいつまでも俺の後ろ姿を杏が見ていたことにも気付かずに。