蜜月なカノジョ(番外編追加)

「あのさ、正直意外だしショックなのもわかるけどさ、杏ちゃんは…」
「わかってるよ。今まで付き合った奴がいないなんて勝手に決めつけてたのはこっちなんだから。冷静に考えればいない方が不思議なくらいなんだよな」

…そう。もともと杏は魅力的な女性で、普通に考えれば彼女と付き合いたいと思う男はいくらでもいるだろうし、実際付き合った男がいても何ら不思議なことではない。

だがあれほどまでに男が怖いのだから、男と付き合ったことなどあるはずがない。
そう勝手に結びつけていたのは俺だ。
実に短絡的な思考だが、普通の男とは会話もまともに成立しない、好きな男とのキスですら不器用でいっぱいいっぱいだった彼女を思えば、ほぼ100%間違いないだろうと信じて疑いもしなかった。

だが…

「…もしかして、その元カレにも嫌な目に遭わされてるのかしら…」

ぽつりと呟かれた一言にピクッと反応する。
俺の背中から負のオーラをびんびん感じたのか、葵は慌てて口を噤むと、そういえばとばかりに話を変えた。

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