蜜月なカノジョ(番外編追加)
何より真っ先に目を奪われたのは大きな窓から見える雪景色だ。
まるで京の都にでもいるかのような立派な日本庭園が白く染まり、その向こうからゆらゆらと湯煙が立ち上る。
ザ・日本の良き風景と言わんばかりのその光景に、部屋に入るなり脇目も振らず窓際に駆けて貼り付いてしまったほど。
それからひたすら「凄い、綺麗」ばかりを繰り返す私に、ナオさんと女将さんが顔を見合わせながら笑っていた。(という空気を背中で感じた)
「もうすぐ6時になりますがお食事はどうされますか? 先になさるかお風呂に入ってからになさるかどちらがよろしいでしょうか?」
「あー…、杏はどっちがいい? 俺はどっちでもいいから杏が決めて」
「えっ?! あ…えっと…じゃあ、先に少しだけお風呂に入ってもいいですか?」
さっきの広場で結構な間食をしてしまっただけに少し時間を空けたいのが本音。
せっかくの料理だもん。どうせなら空腹状態でおいしくいただきたい!
「もちろん。じゃあ女将さん、夕食は7時からでお願いします」
「かしこまりました。では時間になりましたらこちらにお運びいたしますので。それまではごゆっくり温泉を楽しまれてください」
「ありがとうございます」
ニコニコと頭を下げた女将さんを見送ると、広い部屋には私達だけが残された。
途端に今更ながらこの状況が生々しく思えてきて、どっくんどっくんと心臓が暴れ始める。