蜜月なカノジョ(番外編追加)

そうだ、旅に出よう③




バクンバクンバクンバクン。

さっきから心臓が体から突き抜けてしまいそうなほどに暴れまくってる。
目の前の窓から見える灯りに照らされた綺麗な雪景色なんて、視界に入ると同時に全身の毛穴からすり抜けていってちっとも入って来やしない。

今の私は全神経が緊張マックス状態で背中に集中してる。


「 杏 」


「っ、ふっ、ふわぁいっ!!」

背後から呼ばれた名前にびっくーと自分でもドン引きなくらいに体が跳ねた。
しかも「ふわぁい」って何、「ふわぁい」って!
気の抜けた風船じゃないんだから…!

「杏、そんなに怖がらないで」
「ご、ごめんなさい…」
「違うよ。責めてるわけじゃないんだ」
「 !! 」

後ろからそっと肩に手が触れるとそのままくるりと反転させられた。
目の前にはクラクラするほど整った顔のナオさん。
その目は見ているだけで涙が出そうになってくるほどに優しく細められている。

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