蜜月なカノジョ(番外編追加)

「それを言うなら杏だって俺の誕生日知ってただろ? まぁ多分葵あたりが教えたんだと思うけど。誰だって好きな子の誕生日くらい調べるよ。ましてや俺はオーナーだぞ? 従業員のプロフィールくらいいくらでも見られるわけだし」

言われてみればその通りだ。もちろんそれはナオさんなりのジョークなのだろうけど、まさか私の誕生日を調べてくれていたなんて思いもしなかった。

じゃあ…この日に旅行したのはもしかして…?

「もしかして、このために…?」

手にしたものを見ながらそう口にした私に、ナオさんはゆるりと目を細めた。

私の手元にあるもの、それはネックレスだ。
プラチナのチェーンの先にはハートをモチーフにしたダイヤが並んでいて、その中央部分にはブルーの宝石が輝いている。間違いなく私の誕生石を意識してくれたのだろう。
美しく、けれど決して華美過ぎない、可愛らしさと上品さを兼ね備えたものだ。
シンプルだけれど、きっとかなり値が張るに違いない。

「杏の誕生日に何かしたいとずっと思ってたんだ。何がいいかってずっと悩んでたんだけど…こうして旅行に来るのもいいなって思って」
「ナオさん…」
「杏だって俺のために一生懸命プレゼントしてくれただろう? 本当に嬉しかったし、それと同時に次は俺も杏のことを祝いたいと思ってた」
「ナオさん……ありがとうございます…」

ウルッと瞳を滲ませ始めた私にクスッと笑うと、ナオさんはケースからネックレスを取り出した。

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