春色のletter
「どうしたの?」
「今日は家の用事で部活休むから先に帰るね」
「あ、そうなんだ」
私は振り返って背中を手摺りに預けると、いいよという感じでぱたぱたと手を振った。
学校前のバスに乗ればいいのだけど、本数が少ないので、結構みんな主要幹線のバス通りまで歩く。
正門の方のバス通りは緩く左へ曲がっていくので、歩く時は夜宮公園を突っ切っていくのが近道だ。
でも、夜は、結構暗くて怖い感じ。
一人なら近道の夜宮公園を通らなきゃいいだけだと思った。
「悪いね~」
「いやいや」
絵里も横で手摺りに背中を預けた。
私は、渡り廊下を吹き抜ける気持ちいい風に髪をなびかせながら、空を見上げた。
そのくっきりとした5月の青い空を見ていると、本当にどうでもいいことだった。