春色のletter
「悪い悪い。その分、今いろいろお返ししているだろ?」


メガネをかけ直しながら、佐伯さんは爽やかに笑った。


「…まあ、はい。否定できませんね」


私は軽くため息をついた。


「そうだろう、そうだろう」


彼は腰に手をあてて立ち止まると、がっはっはっはと大笑いしはじめた。


「置いていきますよ」


私はそれを無視。


「おい、独りにすんなよぉ~」


今度は情けない声を出して付いてきた。


私は前を見ながら、くすっと笑ったのを気付かせなかった。
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