幸せの構図
街の灯り

電話を終え冷えた食事に手を伸ばそうとする私に店員の女の子が近づいてきた。

「あの・・・電子レンジでよければ温め直してきましょうか?」

そんなにヒマな店内ではない。その中で私のテーブルに気をつかっていてくれたことが素直に嬉しかった。ここで遠慮することは店員と客の間柄をぎくしゃくさせる。私の株も上がらなければ店員の子の優しさを台無しにしてしまうことにもなる。

「うん、ありがとう。猫舌だから控えめでいいよ」

「かしこまりました」

受け取った彼女の笑顔がステキだった。私は暖かい気持ちで夕飯をとることができた。

暖かい気持ちになれたのは食事のお陰だけではなかった。りつこと私のつながりの深さが心を暖かにもし穏やかにもしてくれた。

会計をすませ車に乗り込んだ。
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