信じることはとても愚かで美しい。
ブォォォー
向かい風を押しながら進むバイク。
蓮の腰に手を回しながら家に向かう。
「そこ、右ー」
家まで案内しながら、風を全身に浴びる。
「菜緒、お前足大丈夫か?親とか心配すんじゃねぇか?」
蓮の気遣うような声が聞こえる。
「あー、お父さんもういないし、お母さんは出張だから大丈夫ー。」
そう言うと。
「あー…なんか悪い。」
なんてばつが悪そうに言われた。
気にしなくてもいいのに。
もう慣れたのに。
「そーだ、蓮!スマホ持ってる?」
重くなった空気を問い払うように聞く。
「持ってる。」
そう言って後ろに回されたスマホに自分を登録する。
「はい。これで連絡手段できた。」
スマホを返す。
そうしている間に、マンションの入り口について。
「ありがとう。」
お礼を言って。
去っていく蓮を見ると、思わず聞いてしまった。
「蓮…明日も倉庫、行っていい?」
ずっと不安だった。
振り返った蓮は
「ああ。」
そう言ってほほ笑んだ。