信じることはとても愚かで美しい。



ガチャっとドアを開けて家に入る。


そのまま、お風呂に直行する。


シャワーのシャーという濁りのない音を聞いていると、今日のことを冷静に考えられた。


…って、私!何してんだ!?


会ったばかりの暴走族に入ったなんて…。


「痛っ…」


シャワーが当たって足に痛みが走る。


思わずしゃがみ込んで押さえる。


…でも、不思議と後悔はなくて。


膝に頭を預けて考える。


裏切られたことで私の傷が出来たのに。


また裏切られるかもしれないのに自ら行くなんて。


私、馬鹿だなあ…。


そう思うのに。


浮かんでくるのは昇爛のあの温かい笑顔。


一人で大丈夫。


そう思っていたことを覆される温かさに。


結局、強がってたんだなぁなんて。


自分の弱さを知れた。


それを認められたのも、昇爛に出会ったから。


そう思ったら、そんな中に入れたなんてキセキみたいに思えて。


大げさだけど、私にとってはとても大きな存在になる。


そう思った。




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