【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「京都に戻ってくるのは、姉さんに言われたからだよ。そう言っただろうが」
「ふうん。じゃ、違うのか。誰だろ……?相馬と関わってて……同級生か、年下か……ってか、それは本命に言わないとねぇ?」
私に言っても、無駄な気がする。
「……進路なんて考えてないだろうな。いや、考えてるか?よく、分からない……」
「……ん?その話からして、やっぱ、年下なんだ?うちの学校で年下の相馬と関わり深い女の子かぁ~これなら分かるかもっ!夏翠に聞いてみようかな」
「頼むから、それだけは……!」
ポケットから、携帯を取り出すと、こんがするように相馬が言うので、おとなしくしまった。
「嫌なの?……分かった。誰にも言わないし、聞かないことにする」
人の嫌がることは、しない主義だ。
それは、人としての品格を下げる。
暫くすると、笑い終えた一行がこちらを向いた。
そして、
「そういう先輩はどうなんですか?」と、相変わらず、酒飲みながら、氷月が聞いてきた。
「私?いるよ。ばかだけど……優しいやつ」
(相馬のことだけど)
「そんな風には、見えんけどなぁ……」
一応、好きになった人はいる。……目の前に。
けれど、私は言うことはない。
結婚しないから。
「フフフ……」
軽く笑い、私は無言になった。
これ以上、話していたら漏れるから。
心の底で封印すると決めた想い。
口にはしない。