【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……目覚めたか」
煙草を吹かしながら、部屋に入ってきた雪さんは、いつもの上座につくと、目を光らせた。
「夏翠が、目覚めたな」
「なっ……、なんだと!?」
それに目を見開いたのは、校長達。
当主の襲撃は予想範囲内でも、夏翠の覚醒は予想範囲外だったらしい。
「ふむ……ありうる、か」
その中で、一番冷静な千夜はゆるりと、扇子を動かす。
「なら、そろそろ、夏翠は……」
その言葉が、合図のように。
ドォォンッ……
獣の唸り声のような音が響いた。
「なんだ!?」
こういうことに青春を注いだ校長達は、すぐに臨戦態勢にはいった。
千夜は持つものは、扇子から銃に変え。
弾の残りを、確認する。
俺も、懐に仕舞われている武器の確認をし……本当、こういうことに慣れきっているのが、ひどく悲しいが、己のみを守るためには、致し方ないことなのであろう。
自分で守らなければ、死ぬ。
それが、昔からの考えで……
「……っ、とせっ……!」
…………聞き間違いかと、思った。
誰かが、誰かを呼ぶ声。
「苦しんでいる……」
畳が……いや、畳の元となっている草が、感情を伝えてくる。