【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……ストレスって、最近、何かありましたか?」
『……分からんのや。朝陽が死んだ季節でもなければ、アイラの消えた季節でもない。何があったのかまでは……ただ、これだけはわかる』
「なんですか」
沙耶のかかる、強いストレス。
その、原因は?
『生来の病が、悪化しとるかもしれんのや』
「なっ、」
どういうことだ?
体力はないにしても、そんなことはあるはずが……
結婚、出産。
それを諦めた沙耶に、また、何かを捨てさせるのか。
『喀血、しとるみたいなんや』
「……っ!」
血を吐いている。
そして、しているみたいということは、誰にもいっていないと言うことだ。
それだけ、沙耶は……
「相馬?仕事の電話、終わったー?」
こちらを扉の隙間から、覗き込んでくる沙耶。
『沙耶がおるんやろ?詳しくは、メールするけぇ。パソコンで見てくれ』
「ええ、わかりました」
電話を切り、沙耶に手招きする。
「?どうしたの?」
「んー」
側に来た沙耶を抱き締めれば、沙耶は抱き締め返してくる。
隠すのが、上手な彼女。
「……行きたいところ、どこか、あるか?」
そんな沙耶に、俺ができることはなんだろう。
「どうしたのー?急に……我が儘、言って良いってこと?」
「ああ。良いよ。何がしたい?」
押し殺すことに長けた、沙耶の感情が解放されるのなら。
全てを賭けても良い。
「……絶対に、死なせない」
沙耶をきつく抱き締めて、俺は、沙耶に聞こえないように呟いた。