【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……ストレスって、最近、何かありましたか?」


『……分からんのや。朝陽が死んだ季節でもなければ、アイラの消えた季節でもない。何があったのかまでは……ただ、これだけはわかる』


「なんですか」


沙耶のかかる、強いストレス。


その、原因は?


『生来の病が、悪化しとるかもしれんのや』


「なっ、」


どういうことだ?


体力はないにしても、そんなことはあるはずが……


結婚、出産。


それを諦めた沙耶に、また、何かを捨てさせるのか。


『喀血、しとるみたいなんや』


「……っ!」


血を吐いている。


そして、しているみたいということは、誰にもいっていないと言うことだ。


それだけ、沙耶は……


「相馬?仕事の電話、終わったー?」


こちらを扉の隙間から、覗き込んでくる沙耶。


『沙耶がおるんやろ?詳しくは、メールするけぇ。パソコンで見てくれ』


「ええ、わかりました」


電話を切り、沙耶に手招きする。


「?どうしたの?」


「んー」


側に来た沙耶を抱き締めれば、沙耶は抱き締め返してくる。


隠すのが、上手な彼女。


「……行きたいところ、どこか、あるか?」


そんな沙耶に、俺ができることはなんだろう。


「どうしたのー?急に……我が儘、言って良いってこと?」


「ああ。良いよ。何がしたい?」


押し殺すことに長けた、沙耶の感情が解放されるのなら。


全てを賭けても良い。


「……絶対に、死なせない」


沙耶をきつく抱き締めて、俺は、沙耶に聞こえないように呟いた。

< 291 / 759 >

この作品をシェア

pagetop