【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
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……今更だし、何回か言ったかと思うが、沙耶は無欲だった。
「うそっ!めっちゃ、美味しい!」
目の前で料理を頬張る沙耶は、驚きながらも、箸をすすめてく。
「……そうか?」
作ったのは、和食。
料理名は忘れたが、とりあえず、和食だ。
『何でも?じゃあ、相馬が料理しているところをみたい!』
……得意とは言わないが、料理上手な弟の氷月のお陰で、それなりにはできる。
「こんな夜景がきれいなところでご飯とか、贅沢~」
「……いつもは一人だけどな」
「一人でも、だよ!夜景ってさ、ひとつ、ひとつの生活の証みたいなものじゃん?見てて、楽しいよね。この世界には、こんなにも生きている命があって、それがまだ、世界の一部にも満たない……見ていて、本当に変な気分」
沙耶の世界を見る目。
どこか寂しそうで、他人事な目。
「……沙耶」
「ん……?」
出逢ったときから、感じていたこと。
抱き締めるときも、抱いているときも、キスしているときも、身を寄せあっているときも、一緒に出掛けるときも、ずっと。
彼女の一挙一動で、気づいていたこと。
それは。