【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「私だってね?死にたくないよ?」
大兄ちゃんは唇を噛み、勇兄ちゃんは髪を掻きあげた。
「死にたいわけないじゃん……っ!!」
私は、勢いに任せて立ち上がった。
死ぬことがどういうことかなんて、嫌なほど知ってる。
死ぬということは、すべてを失うということ。
「この子達のことだって、抱けない……っ!大好きなお兄ちゃん達にも、守りたい両親にも、友達だって、愛する人にだって逢えなくなる……っ!ひとりぼっちになるんだよ!?死がどういうものか、痛いほど知っているからこそ、私は、この子達を生んで死にたいの!」
苦痛に顔を歪ませるしかできない兄に縋る想いで、触れる。
死ぬのは、怖い。
でも、怖いからって、私が感じなければならない恐怖を子供たちに味わわせたくない。
生まれてくるための命に、背負わせたくない。