【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「おねがい、お兄ちゃん……っ!」


「……」


「協力して」


兄達は頷かない。

分かってる。

最低な選択をさせようとしてるって。

けどね?


「私はもう“失い″たくないの!」


守るものを守れずして、何がお嬢様だ。

両親の経営する小さな会社の唯一の娘であった私は、周りが優しかった。

お嬢様と呼ばれ、両親の愛情を貰い……大兄ちゃんは、私のせいで両親を失ったのに。


「お願いします……っ!」


頭を下げる。

涙が、零れる。


「お願いっ!」


頭の上から声が降る。


「……失うのが、嫌だと言うのは分かる。けど、死ねば、すべてを失うぞ」


「分かってる」


「……それでもか」


「……はい」


腕を引かれた。

目を開けると、何度も抱き締めてもらった腕の中で。


「……死なせない」


兄は私を解放すると、タバコの箱をゴミ箱に捨てた。


「……覚悟があるなら、生め」


きっと、兄にとっては苦渋の決断。

私は顔をあげた。

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