【完】☆真実の“愛”―君だけを―2





「あれ、お祖父ちゃん、どこに行ってたの?」


今までの幸せを取り返すかのように、澪たちと遊ぶ桜は楽しそうに笑っていた。


「ちょっとな」


「へー、あれ、その箱は?」


「頼まれ事をした箱だよ。大したものだが、大したものじゃない」


「ふふっ、お祖父ちゃん、自分でいっていることに矛盾が出来てる」


みんなで、笑い合う。


瞬も、薫も、美桜も、幼馴染みたちも集まる部屋で、みんなと笑い合う。


桜が夢を見ていた光景が、今日、実現したのに……させてあげるために、千夏たちの仇を討つために、動いていたはずなのに……心が、晴れない。


隣に、沙耶が一人でいると思うと落ち着かない。


孤独になれていたとしても、寂しいものは寂しいはずだ。


彼女に甘えがあったのなら、良かったのに。


そう思っていると、最後の人間、相馬と千歳と甲斐が、部屋に入ってきて。


相馬に至っては、眠そうである。


そして、それを確認すると、桜に断りをいれ、恋人の千歳ではなく、相馬に駆け寄る柚香。


開口一番、言う言葉は。


「沙耶の情報は!?」である。


ずっと、ずっと、みんな、探してる。


想っている。


助けてあげたい、そばにいたいと。


でも、沙耶のプライドが、それを許さない。


だから、俺も口を挟まないつもりだったんだ。


……この時までは。

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