【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「あ、そうだ!ねぇ、お祖父ちゃん」


「ん?」


孫からの、純粋な質問。


「柏原奈櫻さんって、どんな人?」


血が、騒ぐのがわかった。


やはり、京の娘である。


感が鋭いのは、あいつと同じだ。


「柏原?」


「え?」


戸惑う、集まった薫たち。


「なんでだ?」


交流はないはずだ。


沙耶みたいな女が、そんな失態をおかすわけがないから。


「んー、目覚めた日にね、誰も気づいてくれなかったんだけど……その子だけが気づいてくれて。妊婦さんなのに、手を貸してくれたの。直樹さんを呼びにいってくれたし、笑いかけてくれたんだ。“目覚めて良かった、もう、大丈夫”って。それが、すごく嬉しくて。仲良くなりたいなって、思ってるの」


駒を動かしながら、話す桜。


沙耶、そんなことをしていたのか……


初耳である。

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