【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「走りませんよ。この間は、緊急事態だって言ったじゃないですか。……って、なんですか?」
先生の視線が気になって、首をかしげる。
「いや……お前、化粧は、してねぇよな?」
訝しげな視線は、私の頭のてっぺんから足先までを見回す。
……ある意味、セクハラになる気がする。
まぁ、気にする質ではないが。
「はい?……しませんよ、面倒くさい」
「だよな。……まあ、いい」
私の性格をよく知っている学年主任は、不思議そうな顔のまま、去っていく。
「……なんだったんだ?」
訳がわからない。
つか、視線がウザい。
(保健室でサボろっかな……)
そんな、下らないことを考え始めたときである。
「沙耶ー!!」
元気いっぱいな声とともに、背中に衝撃。