【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「うおっ……み、澪?」
ギューッと、後ろから抱き締められ、く、苦しい……。
「……み、澪……苦しい……ギブ……」
発作を起こしたときのような感覚に陥り、呼吸が出来ない。
(ってか、力強すぎ……)
そこで、澪が人間ではなかったことを思い出す。
「わー!ごめんっ!いっつも、千歳にやる感覚でやっちゃったー!」
千歳がとても可哀相に感じるのは、私だけでしょうか?
「う、うん……だ、大丈夫……」
離れてくれて助かったと息をついたとき、
「沙耶、屋上」
相変わらず、イケメン幼馴染みを従えた、桁外れの異常な奴こと薫がぶっきらぼうにそう言った。
澪の後ろにいたわけね……。
「……だって。沙耶、行こ?」
はあ、とため息をつく私を見て、澪は手を差し出してきた。
こちらも相変わらず、愛らしい笑顔。
「……やっぱ、こうなるよね」
ざわざわする廊下。
これから、一限目が始まるというのに、堂々と廊下を闊歩しやがるトップの人間たち。
こいつらといると、本当、毎回、何かひとつ賢くなっている気がする。
(結論:こいつらがいても、いなくても、私に安全かつ、平和な学校生活は訪れない!)
澪の手を取り、私は何度目かわからないため息をついた。