【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□澪side■



正直、沙耶が倒れたときは、目の前が真っ暗になった。


だって、お母さんが死んじゃったときと似ていたから。


怖くて、怖くて、沙耶が無事だって、相馬から連絡が来たときは、ホッとしすぎて、気を失ったほどだった。


両親が、生粋の天狗で生まれた私。


天狗のみが住む、かつて、永久さん(相模のお祖父ちゃん)が”暇“を理由に飛び出した里で、育った私。


自然に囲まれて、テレビなんかなくて、人間もいない、そんな妖怪だけの里。


私にそれは普通だったし、これからもそこで過ごし、大きくなったら、そこら辺の男と結婚して、里で子供を産み、育てるものだと思っていたのに。


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