【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


第一夫人のことを語るときとは正反対な、情熱的(?)な文。


それだけ、祖父は祖母を愛していたんだと思った。


気がつけば、涙を流していた。


理由は、わからなかった。


そして、もう数ページ捲ると、あっという間に第一夫人が妊娠したことを書いた日から、約八ヶ月たっていた。


おまけに、早産で第一夫人が亡くなったことも書いてあった。


その時に生まれた男の子が、稜(りょう)と名付けられたのは、偶然か。


そう思いながら、読み進めていると、第一夫人が亡くなってしまったことを悼む文があった。


涙の痕跡なんて、全くない。


そんな筆跡。


恐らく、高笑いをしていた。


祖父は、こうして、うまくいったと。


祖父も、この家に壊された人だったから。


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