【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


『お祖父ちゃん?お祖父ちゃんはね、いつも働いてる。片時も、雪さんの傍から離れないんだ。そして、いつだって、高く、高く、跳んでる』


千歳は三人兄弟で、父親が半分人間の血を持った天狗、母親が生粋の雪女。


祖父がかの有名な生粋の天狗である永久さんで、祖母が完全なる人間。


祖母の影響か、妖怪としての力があまり無かった千歳は、いつだって、兄と違う自分を気にしていた。


生まれたときから、周囲は妖怪。


一緒に住んでいるのも、妖怪。


唯一、似通っていたのは、祖母だけ。


その環境が辛かったらしく、よく、里に来ていた。


気にすることはないのに、そんなことを気にして、人間界に馴染めないからだという。


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