【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


私と同じで、永久さんに憧れる千歳。


どうにかしてでも、家族の力になりたいという、千歳は格好が良かった。


そんな、ある日。


『永久様が……っ!?』


孫の嫁選びのため、里に永久さんが戻ってくるらしい。


その時に、千歳も連れて帰ると。


永久さんを一目、見たくて、人混みの中を歩いていると、千歳が手を引いて、紹介してくれた。


『お祖父様、僕と仲よくしてくれている澪です』


『……お、千歳、大きくなったな』


おおらかに、柔らかく笑う人。


『澪、か。可愛いな、何歳だ?』


幼い頃から憧れ続けてきた人は、私に笑いかけてくれて。


私は戸惑いながらも、答える。


『あ……14です』


『14……千歳と一個違うんだな』


そう、私は14で、千歳は15。


もとから、高校進学と共に人間界に戻るという約束だったらしい。


私はそんな約束の存在は知らなかったけれど、千歳が千歳らしく生きられない場所に連れていくのは、どうかと思った。


どうしようもない、千歳の悲しそうな顔しか見てられなくて、どうしようかと迷った、その時。


『――千歳、妖怪でなくても、お前にはお前の出来ることがあるだろう?私以上に努力しているから、お前は大丈夫だ』


髪を背中に流した、永久さんに負けぬ、美貌。


洗練された動作、言葉遣い、その何もかもが、私の視線を奪った。


―――一言で言おう。


惚れた。

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